2015年11月26日木曜日

小野さんの退任とその周辺についての私見。

小野さんの件について、思うところがあるので私個人の考えをまとめておきます。

擁護するわけではないけれど、熊日としては事が起きてから数日のうちに情報はつかんでいて、リーグから厳重注意を受けることが分かった時点で抜いたということで、処分が出なければ報道しない事案だったかもしれません。でも結局公式な処分が出ることになった以上、ニュースとして伝えなければならない。後手と表現されているのは、起きてからそれが公になるまでのプロセスについてが主だと思います。ただし、厳重注意を受けることが分かった後でクラブがベストな対応をしたかと言えばそうとは言い切れないところもあって、翌日の試合前後に機会があったにも関わらずその時間を設けず(これは書面が届いてからと説明されましたが)、結果的に直接説明するタイミングを逸したことを指している。

もちろんクラブとしても、リーグからの文書が届いた時点でリリースするつもりだったのだろうし、その意味では先に報道が出たのは想定外だったかもしれない。しかしそもそも匿名の電話でリーグに伝わったということは、クラブから自主的に報告しなかったということ。だとすれば、もし外部からのリークでこのことが公になった時、たとえその意図がなくても「隠蔽しようとしたのではないか?」と考える人がいてもおかしくない。だからこそ、当事者間で和解もして事態が収束していたとしても、注意を受ける前に何らかのアクションを起こす必要があった。その点の認識が甘かったということは池谷社長も認めています。

直接のコメントを求めたのは、それこそ原因を明らかにして再発させてほしくないためであって、辞めさせようという意図があったと捉えるのは少し違うし、ましてスポンサーとして金も出している企業に対してリリースしないのはどういうことだ、というようなスタンスでもない。小野さんご自身の判断には今回の件が関係しているのは間違いないと思うけれど、報道が辞任に追い込んだと考えるのは早計で、飛躍しているのではないかと感じます。

普段からチームを見ていない、クラブのことをよく知らない県民、スポーツ面に興味の無い読者にとって、社会面に連日ネガティブな記事が出たインパクトは大きいけれど、実際にクラブへの反応は批判よりも激励などの方が多かったと聞きます。現にクラブ側はその行為自体に非があったことを認めた上で、来季も率いて欲しい旨を伝え、平均7,000人いる観客、サポーターの多くはクラブ側の続投要請にも肯定的でしたそれでも、その上で小野さん本人が判断したこと。つまり報道に屈したとか追い込まれたというより、自らが残って監督を続けることによってクラブやチームが受ける負の作用や影響に配慮したのでしょう。

ここで辞められるのはとても残念だしもったいないけれど、どうしたって暴力はダメなのだから、通報や厳重注意を受けて発覚するよりも前に、クラブとして打つ手があったのではないか。小野さんやクラブの将来を守るためにも、進んで情報開示すべきだったのではないか。そういう方向で書いていると私は解釈しているのだけれど、憶測や邪推を含む解釈も少なくないようです。もちろん捉え方は様々あって当然、なのですが。

記事を書いた記者本人や新聞社には、こういう意図で書き、見出しを付け、レイアウトした、といったことを説明する機会はないし、あえてそういうことはしない。ただ、一緒に取材をしてきた身として、意図的に辞任に追い込む狙いがあったとは思えないし、思いません。少なくとも、特定の監督に対して印象操作をしようなんて意図を持って伝えてきた記者は、私が知る限り熊日の運動部には1人もいません。

たしかに新聞の影響力は大きいです。試合前後の記事にしたって普段のネタ記事にしたって、フリーランスの立場で取材している私が専門誌やネットで書く記事に比べたら嫉妬するくらいのレスポンスがある。ご本人の判断に少なからず影響したことを考えると、あの記事が出なければ…と感じてしまうのも否定はしません。ただ、支えて県民に広く周知して大きくしていくのも地元紙の役目だけれど、ダメなこと、改善が必要なことについては厳しく伝えるのも報道機関としての責務であって、今回についてはその範囲を越えたものであるとは私自身は感じないのです。ギリギリだったかもしれないけれど。

小野さんのサッカーは1年目から2年目とプラスに進化していた分、来シーズンが非常に楽しみだったので、もう本当に、残念だし、悲しい。ともかくクラブには、小野さんが築いたものを引き継げる後任の人選と、今後同様のことが起きない対応策を確立してもらえたらと思います。